大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和27(あ)554 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人伊藤利夫同中野清重の上告趣意(後記)第一点について。

原判決を読めばその理由の冒頭において「原判決挙示の証拠によれば同判示事実

はいずれも之を十分に認定するに足るところ……」と説示し先ず被告人に対し本件

犯罪の成立することを認めた上次いで「情状につき各弁護人の力説するところを記

録を精査して考按するに……」として所論のように被告人等がその任務遂行の熱意

のほとばしるところ遂に本件犯罪を犯すに至つた事情について詳細説明しているこ

とが明らかであつて何も所論のように第一審判決の事実認定を否定するような説示

はしていないのである。

換言すれば原判決は第一審判決の被告人に対する量刑が不当であるとして同判決

を破棄する理由として被告人の本件犯罪の情状について説明したまでのことであつ

て被告人の本件所為が法律上何等犯罪を構成しないとは認めていないのである。そ

して原判決が本件犯罪の成立を認めているのも何も所論のようにいわゆる「鉄砲手

錠」を施すこと自体にあるのでないことは原判決と第一審判決とを併せて読めば自

ら明らかである。即ち既に疲労困憊の極已に独力で歩行することすら不自由で他の

受刑者等に背負われて来た本件被害者を以て故ら逃走の虞があるものとして故なく

同人に対し鉄砲手錠を施した上素手でその顔面を数回殴打して同人をして蹌踉顛倒

するに到らしめた暴行の所為が本件犯罪を構成するのであるから仮りに所論のよう

に右鉄砲手錠を施すこと自体が正当な行為であつたとしてもそのために本件犯罪の

成立を阻却するものではないのである。以上を要するに所論は第一審判決が認定し

た事実にそわない事実に基いて原判決の違憲を主張するもので結局右違憲の主張は

その前提を欠くものといわなければならない。

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同第二点について。

所論は理由のない事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条に当らない。

なお記録を精査したが刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二八年九月二九日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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